<連載>学習塾のデジタル化 第4回 「じっくり見てもらえる、塾からのお知らせ」を つくるためにおさえるべきこと
学びの場の価値を高めるプラットフォームを提供する、
FLENS(フレンズ)株式会社の社長・大生 隆洋のコラムです。
ICTを活用し、教育の新たな価値を生み出すことに挑む、その想いを語っていきます。
過去3回のコラムでは、私の学習塾での経験を踏まえてICTシステム導入の要諦を述べましたが、今回は実際の活用データから見えてくる保護者が情報をどのように受け取っているかを一部ご紹介しようと思います。
当社が提供している「FLENS School Manager(以下、FSM)」を利用いただいている学習塾で、保護者がアプリをどのように利用しているかの調査を実施しました(調査対象の期間は2023 年2月1日から5月21日)。
2023 年4月から全体導入した学習塾の2023 年5月22 日時点の保護者利用登録率は、97.1%となっております。
アプリを有効に活用するためには、保護者利用率95%以上が必要だと考えております。90%前後では、どうしても従来のプリント等でのお知らせを併用する必要があり、せっかく便利なツールを導入しても、従来のプリントでのお知らせを廃止しにくいので、ツール分の業務が増えてしまうという結果になってしまいます。ツールの導入に際しては、便利になるという視点以外に、従来の業務をどのくらい削減できるのかという視点が重要です。
FSM では生徒1人に対して母親と父親など複数の保護者を登録することができます。2023 年5月22 日時点の利用登録された保護者属性別の比率は、母親が98.1%で大半の生徒の母親が利用登録しているのに加えて、父親22.6%と4.5 人に1人の生徒の父親が利用登録していることがわかりました。
また、属性別の利用登録の比率についてサービス開始時と変化があるかを調査したところ、利用期間が3年を経過した学習塾において、特に「父親」の利用登録率が10%増加していることもわかりました。
当社の調査結果からもわかるように、学習塾から発信される情報は、母親のみならず父親にもみられているということに留意して行う必要があると考えます。
次に、調査対象期間内に有効だった保護者アカウントについて、アプリへのアクセス時間帯及びお知らせ配信時間帯を調査しました。
生徒が通塾する時間帯である17 時~ 23 時の多く、週後半ほどアクセス率が高まる傾向が見られます。また、土曜日、日曜日は午前中~午後にかけてもアクセス率が高まる傾向がわかりました。学習塾からのお知らせ配信時間とアプリへのアクセス時間は概ね近似していますが、20 時~ 23 時はお知らせ配信にかかわらずアプリにアクセスする保護者が多いことがわかります。また、深夜、早朝の時間帯でアプリにアクセスする保護者が一定数いることもわかります。
このことからお知らせ配信の通知のタイミングでアプリにアクセスするのはもちろんですが、早朝や夜遅い時間、土日など時間が取れるタイミングでじっくり学習塾からの情報を見ていることがうかがえます。このような状況を踏まえ、単に事務連絡のみにとどまらず、学習塾でのお子様の様子や先生からのメッセージなどを配信すると効果的に保護者のファン化につながる可能性があります。