リビング勉強のススメ
学びの場の価値を高めるプラットフォームを提供する、
FLENS(フレンズ)株式会社の社長・大生 隆洋のコラムです。
ICTを活用し、教育の新たな価値を生み出すことに挑む、その想いを語っていきます。
私が受験模試を一般会場で初めて受けた時、隣の席の受験生の「カカカカカッ」というシャープペンシルの音で、イライラして全然集中できなかったことがあった。たまたまその時は、近くで道路工事もあり最悪な気持ちで、当然、成績も良くなかった。成績の悪かったのは、「ヤツせいだ。次はきっといい成績が取れる」と思ってみた、が、しかし、すぐに本番の試験で同じ環境に遭遇したとき、同じ言い訳は通用しないことに気づく。そもそも、そんな人のせいで不合格になるなんて、許せないと思った。
こどもたちを学習塾で指導するようになり、テストで集中できなかった言い訳を、当時の私と同じように周りのせいにするこどもが結構いることを知った。「後ろの友達の独り言で集中できなかった」とか「鼻息が荒い人がいて、イライラした」とか様々。自分の部屋や静かな図書館や自習室で勉強をすることに慣れているこどもたちにとって、受験会場という、いつものメンバーとは違う大勢の人いて、それも緊張した状況で、集中力を高めることは至難の業である。
私は受験時代に経験したイライラを克服するために、様々なトレーニングを行った。音楽を聴きながら勉強したり、電車の中で勉強したり、喫茶店で勉強したりした。これらは意外と集中できるので、あまりトレーニングにならなかった。結構辛かったのは、ラジオを聞きながらの勉強。これはなかなか集中できなかったが、次第に集中できるようになった。一番辛かったのが、テレビを背にしての勉強。笑い声やCM、面白そうなトピック、様々な音が耳に飛び込んでくる。つい振り返って見たくなる。2カ月ほどすると、勉強を始めて数分でテレビの存在が気にならなくなる。
この状態で模擬試験に行くと、周りがどんな状況であっても一気に集中できるようになっていた。
私は受験生に学力をつけることと同時に、どんな環境でも自分の力を発揮できるトレーニングをすることを指導していた。トレーニング方法は人それぞれなのでいろいろ試して欲しいと思っているが、その中でもリビングでの勉強を進めている。様々な生活音、集中力を阻害する状況が周りで起こるが、それらが気にならなくなったとき、大きな力を手に入れることになると思う。テレビを背にして勉強するかはさておき(笑)。
持っている力を、どんな状況でも確実に発揮するトレーニングも大切な受験勉強の1つであると思っている。