COLUMN社長コラム

リアルタイム対戦型学習サービスでこどもの学習意欲を高める「学習プラットフォーム」を展開する
FLENS(フレンズ)株式会社の社長・大生隆洋のコラムです。
「タブレット × ネットワーク × 教育」で教育の新たな価値の創造に挑む、その想いを語っていきます。

<連載>学習塾のデジタル化 第1回 デジタル化のタイミングで業務のシステム化を 断行する覚悟が成功のポイント

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学習塾のデジタル化というテーマで連載をさせていただこうと思います。

まずは説明する人やタイミングによって、言葉の意味が揺らぐため定義させていただきます。

■用語の定義
(1)ICT化≒DX(デジタル・トランスフォーメーション)
ICT化とDXは本質的には目標が同じですが、ICT化では単にデジタル化やシステムツール導入で思考停止しやすいが、DXだと組織変革(トランスフォーメーション)までを視野に入れやすい。

(2)システム化
一定の成果を出し続けるための仕組みを作ったりマニュアル化したり、業務を定型化すること。

(3)デジタル化
紙資料や帳票などをデジタルデータに置き換えることにとどまらず、資料やデータを瞬時に検索できるように
し、加工・分析がしやすいデジタル形式で保存すること。データの収集・入力の効率化を合わせて行う。

さて、経済産業省の「DX推進指標とそのガイダンス」によるとDXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対
応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革
するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することとして
います。

DXは、企業そのものを変革し競争優位を築くものだと言っています。今の状態を便利にするツールというレベル
でとどまるものではないということです。デジタルの力を使って企業を変形・変革させる活動がDXということです。

教育業界に目を向けると、デジタル化は遅れており、「デジタルの力を活用して企業変革する」というDXの文脈では、まずは、デジタル化をどのように進めるかが課題です。

これは現場の運営がシステム化されていないことが原因です。システム化は、パッケージソフトやパソコンやタブレットを導入することではありません。システム化とは業務のやり方を統一する、マニュアル化することです。例えば、先生が行う授業をマニュアル化し、授業進度を定め、毎回の宿題とそのチェック方法を定め、確認テストの実施方法と不合格への対応を定めることです。さらに、そのマニュアルが全社で目標とする水準で実施できているか把握する方法を確立し、到達していない場合の対応方法を確立することがシステム化です。

ご想像の通り、教育業界ではサービスの根幹である授業領域でのマニュアル化・システム化が難しく、そこから周
辺業務も引きずられて、先生ごと、校舎ごとの独自の業務が残りやすい傾向があります。
デジタル化の前提は、業務がシステム化されていることなのですが、なかなか理解されていないように思います。

デジタル化の支援をしている際に、「○○なやり方をしている先生(校舎)もあるので機能を追加して欲しい」とか
「私の教室では○○ができないと困るのでカスタマイズして欲しい」と言われます。確認すると全社で定まった業務手順はないと言われることがほとんどです。デジタル化において先生独自のやり方すべてに対応すると、費用は莫大に
なり、導入までの期間も長くなり、品質が低下するという問題に直面します。

よって、デジタル化を推進する際は、業務のシステム化を行う覚悟が必要です。つまり、デジタル化と同時に、業
務手順の統一化を行い、例外対応を認めない覚悟も必要です。例外処理が残る場合もその業務手順を明確化すると
いう取り組みを行うことで、業務のシステム化が達成できます。

このように本来は業務のシステム化ができている状況で、業務効率化やDX推進のためデジタル化するのが理想
ですが、業務のシステム化は一筋縄ではいかないので、デジタル化のタイミングで業務のシステム化を行うというの
が正攻法です。この覚悟なく、現在のシステム化されていない業務に合わせて、様々な機能追加やカスタマイズ開発は、デジタル化の障壁になると考えます。

出典:「塾と教育」2023年4月号

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