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「私は褒められると伸びるタイプ」という発言の考察

つくづく人生は傾向の積み重ねだと思う。傾向っていうと分かりにくいが、「タイプ」っていうとイメージしやすいかもしれない。

こどもたちはよく、「私は図形が苦手なタイプ」とか、「私は覚えるのが遅いタイプ」っていう。私は、このこどもたちが言う「タイプ」というのがすごく、とてもすごく嫌いである。

そういう子は確かに、図形は苦手だし、覚えるのが遅い。ただ、本人のつまずきのポイントを発見し、ほどいていくと、大抵の場合、その「タイプ」は過去のちょっとした経験(たとえば、小学校2年生の時に自分だけできなかった問題があって恥ずかしい思いをしたとか)から、自分を「タイプ」という言葉で囲むことで、自分の中にある壁と向き合うことから避けて生きているように感じる。さらにそれを親や先生、友達が容認することで、こどもの「タイプ」はより堅固になっているように感じる。

私は、「タイプ」という発言は人の可能性を制限してしまうように感じ、できるだけ使わないで済むようにこども達と接してきたように思う。「タイプ」という便利な言葉により仕分けをすることで、自分で自分の人生を切り拓く力を喪失させているようで残念である。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
~マザー・テレサ~

マザー・テレサのこの考えにはとても共感する。この論法を端的にいうと、「運命を決めているのは思考スタンスである」と言っている。そして思考スタンスが最初に現れるのはその人の「言葉」である。こども達の話す日ごろの些細な言葉を見逃していて、行動や習慣を変えようとしてもなかなか難しい。

タイトルに書いた、「私は褒められると伸びるタイプ」と言っているこどもは、一見すると良さそうに思うのだが、ずっと私の中でモヤモヤしていた。この子は「他者から褒められないと自分の人生を切り拓けない」と言っているからだと、最近気づいた。

思考スタンスが垣間見える、些細な言葉に気づき、使う言葉を変えるだけで運命が変わるかもしれないとしたら、それは簡単には見過ごせないのではないかと思う。

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