COLUMN社長コラム

リアルタイム対戦型学習サービスでこどもの学習意欲を高める「学習プラットフォーム」を展開する
FLENS(フレンズ)株式会社の社長・大生隆洋のコラムです。
「タブレット × ネットワーク × 教育」で教育の新たな価値の創造に挑む、その想いを語っていきます。

20世紀に家庭がアウトソーシングした3つの機能

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以前、何かの講演で、20世紀は家庭や地域の機能のうち3つのアウトソーシングが進んだ世紀であるとの話を聞いた。それは、刑務所・病院・学校の3つであるとのこと。

1つ目の刑務所は、地域のルールや秩序を乱す者は、もともとは地域や家庭で罰を与えたり、更生したりしていたが、19世紀頃から本格的な刑務所建設が始まり、20世紀には整備が進んだらしい。地域の犯罪者は隔離され、地域がそういった人に向き合う必要がなくなってきた。

2つ目は病院。病気は自宅で療養し、医師の往診を受け、家族が看病するのが普通の姿だったらしいが、20世紀に病院が整備され、療養は入院して行う形に移行した。家庭から病人はいなくなり、家族は看病か介護に向き合う機会が減ってきた。

3つ目は学校。現在、我々がイメージする義務教育や無償の学校が19世紀に誕生し、“国民(同質なアイデンティティを持った集団)”を育成するための機能として学校教育や義務教育制度の普及により20世紀に学校は飛躍的に増えた。学校の誕生により、地域の人々がこどもに礼儀や作法を教えることも、価値観を共有することも、知恵を受け継ぐことからも遠ざけられた。教育は学校で行うもので、家庭や地域で行うという視点が薄れた時代である。

講演の趣旨はこういったものだったように覚えている。

21世紀はアウトソーシングした機能をもう一度、再考する必要があるのではないかと思う。
学校教育に関して言えば、よく学校の先生は忙し過ぎるという声を聞く。教科指導、生活指導、成績管理、学級運営、学校行事、クラブ・部活動、いじめや不登校の問題など生徒間のトラブルや保護者からの要望対応など、実にさまざまな役割を担っている。これらを学校だけ、教師だけに任せるのはあまりにも荷が重すぎるように思う。

家庭や地域は、学校に教育をアウトソーシングするだけではなく一緒に学ぶことがこれから大切になると思う。

家庭でできることは家庭で行う。例えば、こどもに学校での様子を聞く、いろいろな出来事についてどのように感じたか質問し、深く考えるきっかけを家庭で作る。また、こどものトラブルが起こったら、学校任せにせず家庭や地域が積極的に関与して解決を図る。言うのは簡単であるが、実践はなかなか難しいのも事実である。

学校は、オープンにして家庭や地域、民間企業や専門家を巻き込み、こどもにかかわる人を増やす。地域で育てる環境を作る必要があると思う。現在、進んでいる自治体では、このような取り組みがかなり活発に行われている。しかし、こういった取り組みを推進するためには、特定の人の能力・人脈や予算措置によって実現していることが多いようであり、継続性がいつも問題になる。

これらの問題を解決する1つの方法にICTの役割も大きいのではないかと思う。ソーシャルネットワークサービスの活用は可能性を感じるし、今後、学校が地域社会とネットワークされてくると、ますます学校は地域社会に開かれるであろう。今後の普及・活用がますます重要になってくるであろう。

しかし、ツールだけでは解決しないのは明らかであり、問題の解決には、学校・家庭、双方に覚悟が求められていると思う。

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