COLUMN社長コラム

リアルタイム対戦型学習サービスでこどもの学習意欲を高める「学習プラットフォーム」を展開する
FLENS(フレンズ)株式会社の社長・大生隆洋のコラムです。
「タブレット × ネットワーク × 教育」で教育の新たな価値の創造に挑む、その想いを語っていきます。

壁を乗り越える(上)

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教えた生徒は大抵覚えている。と言っても、急に会って名前と顔を必ず一致するかと言われれば相当怪しい。ただ、1人1人の頑張りや成長、悔しさは良く覚えている。

 その子は数学が苦手で、中1~中2までずっと5段階評価の「2」というより、「1」にならないことが目標と言ってもいいような雰囲気が本人や教室スタッフから感じ取れた。私は、なんとなく違和感あったことを、今でも覚えている。

 私の目標の1つは、1学期の中間テストで指導する全生徒に満点を取らせること、そして全生徒を「4」(当時、相対評価でそれぞれの成績に人数制限があった)以上にすること。それは中3といえども同じだ。

 私は初回の授業で、その目標をクラスの生徒に伝え、一緒に頑張ろうと語りかけた。授業後、例の子が私のところに来て、「先生、私のこと聞いてるでしょ?今まで「2」しか取ったことないんだよ。無理だよ~」と。私は「大丈夫、取れるよ。満点」と軽いタッチで言ったように思う。それから顔を合わせるたび、「大丈夫取れる、頑張ろう」と言い続けた。その後の頑張りの1つ1つをここで書くことはしないが、私はその子に接するとき、もちろん他の生徒と接するときも、数学の苦手な生徒ということは一切考えず、満点を目指している生徒として接した。

 中間テストが終わり、生徒たちが塾に報告に来た。みんなウキウキした様子。その中にその子もいた。何点だったと聞くと、「91点だった~。凄いよ」と嬉しそうに答えてくれた。その後に、「でも、先生悔しい!間違えたところは全部できる問題ばっかりだったの。本当は満点とれたのに~」ととても悔しそうに言ったのが印象的だった。私は、「頑張ったじゃん、凄いよ。でもその悔しさを忘れずに期末で満点を取ろうよ」とだけ伝えた。

 1学期が終わり、その子の成績は「4」。それには友達も親もそして教室スタッフもみんなびっくり、中1から見ていた先生は「あり得ない!」と思わず叫んたくらい、びっくりだったみたい。ただ、本人は「4」には満足しながらも、「5」を本気で狙っていたのが言葉の端々から感じ取れ、その想いは、私よりも強かったことに気づかされた。「凄いな」と思わず心の中で思った。

 その子はその後、「数学は得意・・・、じゃないけどやればできる、だから得意」みたいなことを言っていたのが記憶に残っている。

 その年の私は、3分の1の生徒が満点を取り、中学校の「5」は独占したが、3名の生徒が「4」に届かなかった。その後も目標に毎年挑戦し、惜しいことも何度かあったが未だ達成できていない目標の1つである。

 私はその後、必ず生徒に、
「今を基準に未来を考えるな、未来を基準に今を考えなさい」
と繰り返し話すようにしている。それはあの時、心の中でつぶやいた「凄いな」と感じたこと、そのものだからだ。

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